黒人音楽のルーツを訪ねて


~ Blues の Memphis と Jazz の New Orlenas ~

05.New Orleans(ニューオリンズ)

 今日はメンフィス(テネシー州)→ジャクソン(ミシシッピー州)→ニューオリンズ(ルイジアナ州)まで高速55号線を約400マイル(約640km)南下する旅程です。
 今日は私も車の運転をさせてもらう事にしました。

 アメリカでは高速道路も郊外になると高架橋になっていません。路肩にはガードレールもありません。その代わりに幅5m程の芝生地帯となっています。対向車線との間も5~10m離れていて芝生地帯となっています。周りの景色も見えるし、日本の道路のような圧迫感がないので運転していても楽しいです。それでも大きなトラックのコンボイを追い越す時には緊張しました。

 ルイジアナ州に入りニューオリンズに近づくと徐々に湿地帯となって来て、高速道路も橋になりました。延々と湿地帯が続くので、橋も何十kmと続いています。こんな広大な湿地帯も日本では見ることができないスケールです。

 1682年に新大陸の未知の世界を求めてやってきたフランス人探検家ラ・サールが、この地を国王ルイ15世に奉げる意味を込めて「ルイのもの」という意味でルイジアナと名付けたらしいのです。だからニューオリンズにはフランス統治時代の名残が多く残っていると言います。

 541BourbonSt.にあるRamadaPlazaHotelには午後4時頃に着きました。ホテルはニューオリンズのフレンチ・クォーターでも一番賑やかなバーボン通りにあり、2階にはバルコニーがあるニューオリンズらしいホテルで、通りは大勢の観光客で賑わっています。

 ホテルの前に車を停めてチェックインしようと夫が車を降りた時に、突然車の盗難防止装置が作動して、けたたましい警告音が鳴り出しました。この音を止めるにはどうしたら良いのかと、エンジンを切ったり、掛けたりしましたが、止まりません。焦っていろいろ試して見ましたが、全く止め方が解かりません。車の周りには野次馬が集まって来ました。冷や汗をかきながら焦っていると、野次馬の1人が何とか止めてくれました。


 チェックインして部屋で一休みした後に、フレンチ・クォーターの見物を兼ねて夕食に出掛けました。フレンチ・クォーターの所々でストリートミュージシャンがデキシーランド・ジャズを演奏していましたが、これもニューオリンズ独特の雰囲気です。
(デキシーランド・ジャズは南北戦争の終わり頃に黒人と黒人の混血児で始められ、トランペット、 トロンボーン、クラリネットなどの3管が中心となり譜面に縛られないで自由に即興演奏するのが特徴の音楽で、現代の多様なJazzの原型となっています。)

 夕食はJazzの生演奏を聴かせてくれるレストランアーノーズのクレオール料理を頂きました。
(ニューオリンズの料理はクレオール料理とケイジャン料理が有名で、クレオール料理はフランスからやってきた富豪たちがおかかえの調理人たちに地元の食材を使って作らせた料理で、ケイジャン料理はフランスからカナダ東部に渡った移住者たちが南下して、この地にたどり着いて広まった料理で、クレオール料理は優雅、ケイジャン料理は庶民的と言われています。)

 

 次の日の朝食はフランス統治時代に優雅なマダムたちが愛したと言われるブレナンズの朝食を是非味わってみたいと思い、朝の散歩を兼ねて出掛けました。(娘は疲れが溜まっており、朝食は要らないので眠っていたいと言ったので夫と二人だけで出掛けました。)
 レストランの入り口で黒人の給仕が英語で何やら話し掛けて来ましたが、全く解かりません。でも、どうにか席に案内してもらい、メニューをもらい、コース料理を頼みました。静かな高級レストランの雰囲気で、お客は2~3組だけですが、大勢の黒人の給仕がいます。
食べ終わったお皿を下げる度に、テーブルに落ちたフランスパンの粉をハケで掃除してくれ、それから次の料理が出て来る丁寧な給仕ぶりです。朝からこんな高級レストランのお料理を頂くのは、本当に贅沢な気分で、何か申し訳ない気がしました。

 食事の後は一旦部屋に戻り、娘も連れてニューオリンズ観光とお土産の買い物に出掛けました。フレンチ・クォーターにはビルがない代わりに2~3階にバルコニーのあるフランス風の建物が並んでいます。ジャクソン広場には大勢の人が集まっていてストリートミュージシャンもたくさんいます。Saks Fifth Avenueでお土産を買う事にしましたが、昼過ぎまで買い物に掛かってしまいました。買い物で疲れたので、午後はのんびりと外輪船でミシシッピー・クルーズをしようと言う事になりナッチェス号に乗りました。
(ミシシッピー川は世界3大河川の一つで、全長約3,800kmとアメリカ合衆国では一番長く、ミネソタ州からルイジアナ州まで10州を通ってメキシコ湾に注いでいます。)


 外輪船のデッキの椅子に座って、のんびりとミシシッピー川を眺めながら日向ぼっこをしているがとても気持ちの良い日でした。

 今夜の夕食はケイジャン料理にしようと言う事になり、気軽に入れるレストランでジャンバラヤやガンボを美味しく頂きました。

 夜はニューオリンズ・ジャズの殿堂で有名なプリザベーション・ホールに出掛けました。
昼の間に何処にあるのか調べておいたのですが、全く気が付かない様な小さい看板と汚いドアがあるだけの場所でした。しかし夜になると多くの人が順番待ちしていて、1時間待ってやっと中に入れた程の人気です。中はせいぜい30~40人ぐらい入れる程度の大きさで「小屋」と呼ぶのが相応しいような場所です。ステージのような一段高い所もなく、演奏者の周りに20人ほど座れる汚い椅子が並んでいるだけです。そこに座って演奏を聴くか、座れない人は椅子の後で立ったまま演奏を聴くのです。

 しかしニューオリンズではプリザベーション・ホールで演奏する事が、一流になるための登竜門だと言われているようで、演奏者にも観客にも人気があります。おそらく、あのサッチモもここから出発したのでしょう。

 1時間ほど演奏を聴きましたが、プリザベーション・ホールでは飲食ができないので、夫はバーボンでも飲みながらジャズを聴きたいと言い出して、もう1件ハシゴする事になり、メイソン・バーボンというライブ・ハウスで、お酒を片手にニューオリンズ・ジャズを堪能した夜でした。

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